キャッシュレス時代に広がるポイント活用の可能性
キャッシュレス決済が当たり前になった現在、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済を組み合わせることで「支払いの効率化」と「ポイント還元の最大化」が両立できるようになりました。
特に注目されているのが「ポイント二重取り」と呼ばれる方法です。これは、一度の支払いで複数のサービスからポイントを同時に獲得できる仕組みであり、日常の支払いはもちろん、事業用の経費決済でも大きな効果を発揮します。
フリーランスや中小企業経営者にとって、経費の支出は避けられません。その支払いをただ「支出」として終わらせるのではなく、効率よくポイントを貯めることで、実質的なコスト削減につなげることが可能です。
ポイントを逃してしまう落とし穴
一方で、多くの経営者や事業主は「ポイントの取りこぼし」をしているのが現状です。例えば以下のようなケースです。
- クレジットカードで直接決済して終わらせてしまう
- QR決済に銀行口座を紐付けて利用している
- ポイント還元率の違いを比較せずに、なんとなく決済手段を選んでいる
これらはいずれも、効率的にポイントを貯める機会を逃している例です。正しい組み合わせを理解すれば、同じ金額を支払っていても「年間で数万円以上」のポイント差になることも珍しくありません。
支払い方法の工夫で得られる最大の成果
ここで結論を先に伝えると、
「クレジットカードで電子マネーやQRコード決済にチャージし、そのQR決済を使って支払う」 という流れを構築することで、ポイントの二重取りが実現します。
具体的には、
- クレジットカードでチャージした時点で「カードポイント」が付与される
- チャージした残高でQR決済を利用すると「QR決済側のポイント」も付与される
この二重構造により、一度の支払いで二種類のポイントが貯まり、還元率を実質的に倍増させることが可能になります。
さらに一部の決済サービスでは「三重取り」まで可能なケースも存在します。例えばキャンペーンや加盟店独自のポイントと組み合わせることで、支払い額の5〜10%が還元されるような状況も発生します。これは経費削減効果として見ても非常に大きなインパクトです。
なぜポイント二重取りが可能になるのか
仕組みを理解するためには、クレジットカード・電子マネー・QR決済のそれぞれの役割を分解して考える必要があります。
- クレジットカード
利用金額に応じてカード会社からポイントが付与される。通常は1.0%前後が相場。 - 電子マネー/QR決済
サービス事業者(PayPay、楽天ペイ、d払いなど)が決済額に応じて還元を行う。これも0.5〜1.5%程度。 - 店舗やキャンペーンポイント
加盟店独自のキャンペーンや、特定のQR決済に限定したポイント付与が追加されるケースもある。
つまり、クレジットカードの「チャージ行為」とQR決済の「利用行為」がそれぞれ別々に還元対象として扱われるため、ポイントが二重に付与されるのです。
よく使われるおすすめの組み合わせパターン
実際にポイント二重取りを実現するためには、カードとQR決済の相性を理解することが重要です。ここでは代表的な組み合わせを紹介します。
クレジットカード × 楽天ペイ
- チャージ元:楽天カード
- 決済先:楽天ペイ
- 付与ポイント:楽天カードの1% + 楽天ペイの1%
→ 合計2%の還元率が狙える。楽天市場や楽天トラベルなどの利用と組み合わせれば、さらに高い還元率に到達するケースもある。
クレジットカード × PayPay
- チャージ元:ヤフーカード、ソフトバンクまとめて支払いなど
- 決済先:PayPay
- 付与ポイント:カード側のポイント + PayPayの0.5〜1.5%還元
→ 特定のキャンペーン(例:PayPayジャンボ)と併用すれば、大幅なポイント獲得のチャンスが広がる。
クレジットカード × au PAY
- チャージ元:au PAYカード
- 決済先:au PAY(QR決済)
- 付与ポイント:カード1% + au PAY 0.5〜1.5%
→ KDDIの携帯料金や電気料金の支払いとまとめれば、事業用固定費も効率的にポイント化できる。
経費支払いで効果が出やすいシーン
フリーランスや中小企業経営者にとって、日常的に発生する経費の支払いこそが「ポイント二重取り」を活用すべき場面です。
交通費の精算
- タクシーアプリ(DiDi、GOなど)の支払いをQR決済に設定
- QR決済にチャージする際にクレジットカードを利用
→ 一度の移動でカードポイント+QR決済ポイントが獲得可能。
事務用品の購入
- コンビニや家電量販店でQRコード決済を利用
- 店舗独自のポイント(例:ローソンPonta、ヨドバシゴールドポイント)も加わる
→ 実質的に「三重取り」が可能。
出張や会議費
- ホテルや飲食店がQR決済対応であれば積極的に利用
- 事業用カードの明細にも残るため、経理処理の透明性も確保できる。
実際の還元シミュレーション
具体的な数字で見てみましょう。例えば、年間100万円の経費をQR決済経由で支払うとします。
| 決済方法 | 還元率 | 年間獲得ポイント |
|---|---|---|
| クレジットカード単体決済(1%) | 1.0% | 10,000ポイント |
| QR決済単体利用(1%) | 1.0% | 10,000ポイント |
| カード → QR決済二重取り(カード1%+QR1%) | 2.0% | 20,000ポイント |
差は年間 1万円。これが3年、5年と積み重なると数十万円規模に到達します。しかも固定費や日常経費での支払いが中心となるため、リスクなく達成可能です。
ポイント二重取りを妨げる注意点
ただし、どんな組み合わせでも無条件に二重取りできるわけではありません。以下のような制限が存在します。
- 一部のカードはQR決済へのチャージが「ポイント付与対象外」とされている
- QR決済サービスによっては、クレジットチャージが制限されている場合がある
- 法人カードの種類によっては、チャージ機能自体が非対応のケースがある
したがって、事前に「このカードはどのQR決済に対応しているか」を確認することが必須です。
法人カードでの二重取り活用法
フリーランスや個人事業主だけでなく、法人カードを使った二重取りも有効です。特に法人カードは「経費決済の一本化」に強みがあり、効率的にポイントを集める手段として最適です。
法人カードを利用するメリット
- 経理処理が簡単になる:明細データが一元化され、クラウド会計ソフトとも連携しやすい。
- ポイントの還元率が高いケースがある:法人専用カードの中には、個人カードに比べても高還元率を設定しているものがある。
- 利用枠が大きい:広告費や仕入れなど高額決済にも対応できる。
二重取りができる法人カードの代表例
- 楽天ビジネスカード → 楽天ペイ
- 三井住友法人カード → d払い
- JCB法人カード → QUICPayやApple Pay経由
このように、QR決済や電子マネーとの連携が可能な法人カードを選ぶことで、事業支出の規模に比例して大きなポイント還元が狙えます。
経理処理と税務上の注意点
ポイント還元を狙う際には、経理・税務の処理方法も理解しておく必要があります。
ポイントは課税対象になるのか?
- 個人利用の場合:日常生活の買い物で得たポイントは原則課税対象外。
- 事業利用の場合:経費決済で得たポイントは「事業の収益」とみなされる可能性がある。
ただし、税務上は「微少な金額(少額不追及)」として扱われるケースも多く、すべてを収入計上する必要があるかは状況によります。特に法人の場合は、会計基準に基づいて処理するのが無難です。
会計処理の方法
- ポイント利用時に値引き処理する方法
→ ポイントを使った分を経費から差し引く。 - 雑収入として処理する方法
→ 獲得ポイントを換算して収益に計上する。
会計ソフト(freeeやマネーフォワード)には「ポイント利用」の仕訳補助機能があるため、効率的に処理することが可能です。
三重取りを狙えるケース
「二重取り」に加え、さらにもう1段階ポイントを上乗せできる「三重取り」の仕組みも存在します。
典型的な三重取りの例
- クレジットカードでQR決済にチャージ → カードポイント獲得
- QR決済を利用 → QRポイント獲得
- 店舗独自のポイントカード提示(例:Tポイント、Ponta、楽天ポイントカード) → 店舗ポイント獲得
シナリオ例:コンビニ支払い
- 楽天カードで楽天ペイにチャージ(1%還元)
- 楽天ペイでローソン支払い(1%還元)
- Pontaカード提示(0.5〜1%還元)
→ 合計で 2.5〜3%還元 が可能。
シナリオ例:家電量販店
- 法人カードでd払いにチャージ(1%)
- d払い決済(0.5〜1%)
- ヨドバシゴールドポイント還元(10%)
→ 高額の備品購入時に非常に大きな還元率を実現。
活用のポイントまとめ
- 法人カードを選ぶ際は「チャージ対応かどうか」が重要
- 経理処理はクラウド会計と連携して自動化を図る
- 三重取りは「店舗独自ポイント」との組み合わせを狙う
今日から実践できるステップ
ポイント二重取りは難しいテクニックではなく、仕組みさえ理解すれば誰でもすぐに実践できます。以下のステップに沿って導入してみましょう。
ステップ1:メインカードを決める
- 年会費無料かつ高還元率のカードを優先
- 法人の場合は経費精算と連携しやすい法人カードを選ぶ
- 例:楽天カード、三井住友カード、JCB法人カードなど
ステップ2:対応するQR決済を選ぶ
- 普段よく利用する店舗が対応しているかを確認
- ポイントの使い道(楽天ポイント、dポイント、Pontaなど)も考慮
- 例:楽天ペイ、PayPay、d払い、au PAY
ステップ3:チャージ設定を行う
- カードからQR決済へのチャージが「ポイント付与対象」か必ずチェック
- 銀行口座直結は避け、必ずカード経由にする
ステップ4:店舗での実践
- 支払い時は「QR決済で」と伝える
- 併せてポイントカード(Ponta、Tポイントなど)も提示
- 三重取りのチャンスを逃さないようにする
導入時のチェックリスト
- メインカードがQR決済にチャージ可能か?
- チャージでポイントが付与されるか?
- QR決済側の還元率を確認したか?
- 店舗独自ポイントも獲得できるか?
- 会計ソフトと明細が自動連携できるか?
実際の導入シナリオ(例)
フリーランスのデザイナー
- 楽天カードで楽天ペイにチャージ
- コンビニで文房具を購入
- 楽天カード(1%)+楽天ペイ(1%)+店舗ポイント(0.5%)
→ 経費支出のたびに 2.5%還元
中小企業の経営者
- 法人カードでd払いにチャージ
- 広告費をd払い対応サービスで支払う
- 年間500万円の広告費で還元率1.5%を実現
→ 7万5,000円分のポイント還元。社員福利厚生費や備品購入に充当可能。
行動を起こすメリット
- 即効性:登録と設定を行えば、その日からポイントが倍になる
- リスクゼロ:支出額を増やす必要はなく、既存の支払い方法を変えるだけ
- 長期的効果:経費決済を継続すれば、数年で数十万円規模の還元が期待できる
まとめ
電子マネーやQR決済をうまく組み合わせることで、誰でも簡単にポイントの二重取りが可能です。
- クレジットカードでチャージ → カードポイント獲得
- QR決済で支払い → QRポイント獲得
- 店舗ポイントを提示 → 三重取りも可能
経営者やフリーランスにとって、経費の支払いは日常的に発生するものです。その支払いを「コスト削減」と「資産形成」につなげられるのが、このポイント戦略の最大の強みです。

