高速道路の支払いをお得に変える視点
個人事業主や中小企業の経営者にとって、車での移動は欠かせない業務の一部です。営業や出張、仕入れや配送などで高速道路を利用する機会が多い方も少なくありません。そのたびに支払う高速料金は、経費として計上できるとはいえ「ただ払って終わり」にしてしまっては非常にもったいないものです。
実は、ETCカードを戦略的に活用すれば、高速料金の支払いをポイント獲得の大きなチャンスに変えることができます。単なる交通費が、事業の資金効率を改善する「資産」に変わるのです。
現金払いでは得られない大きな差
ETCを使わず、現金で高速道路を利用している場合、次のような損失が発生しています。
- ポイントが一切つかない
- ETC割引(深夜割引・休日割引など)が適用されない
- 経理処理で領収書管理が煩雑になる
一方で、ETCカードを導入し、クレジットカードと連携して支払うと、
- 高速料金の割引が適用される
- クレジットカードのポイントが貯まる
- 利用明細が自動で記録され、経理効率が大幅に改善
といった多重のメリットを享受できます。
ETCカード活用の最適な方法
結論から言えば、ETCカードを効率的に使ってポイントを貯めるには、以下の3点が重要です。
- ポイント高還元率のクレジットカードとセットで使う
- 事業用とプライベート用を分けて管理する
- ETC割引制度を最大限活用する
これらを実践することで、単なる経費支出だった高速料金が「ポイント収入」へと変わり、同時に経理や資金繰りの改善にもつながります。
資金効率を高められる仕組み
支払いを先延ばしできる
ETCカードはクレジットカードと紐づいているため、利用から引き落としまで最大1〜2か月の猶予があります。
これにより、手元資金を長く保持できるため、資金繰りが改善します。
例:
月10万円の高速料金をカード払いにした場合、現金払いでは即時支出ですが、カード払いなら翌月末の引き落としまで資金を手元に残せます。
この「支払い猶予」は、キャッシュフローが厳しい事業主にとって大きな支えとなります。
ポイント還元が実質的な利益になる
還元率1%のカードを使えば、年間120万円の高速料金で12,000円分のポイントが得られます。
大きな額に見えないかもしれませんが、事業規模が大きくなるほど積み重ねは無視できません。
節税効果とポイントの取り扱い
高速料金は経費として計上可能
ETCカードで支払った高速料金は、交通費として経費に計上可能です。
そのため、節税効果を確保しつつポイントを獲得できる「二重のメリット」があります。
ポイントの課税関係
原則として、クレジットカード利用で付与されるポイントは課税対象ではありません。
ただし、事業用として獲得したポイントを私的利用した場合には「雑所得」となる可能性があるため、事業用と私用の使い分けが重要です。
経理効率化に直結するメリット
明細が自動的に記録される
ETCカードを使えば、利用明細がカード会社を通じてデータ化されます。これにより、領収書を一件ずつ集める必要がなくなります。
クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)と連携すれば、仕訳が自動で反映されるため、入力作業の負担も削減できます。
監査・税務調査でも有利
現金払いだと「この領収書は本当に事業用か?」と疑問視される場合があります。
一方でETC利用明細は自動で記録が残るため、経費性を証明しやすいというメリットもあります。
精神的な安心感と利便性
現金の準備が不要
現金払いだと、高速料金所で小銭や紙幣を用意する手間が発生します。ETCなら自動的に決済が完了するため、スムーズな移動が可能です。
割引制度でさらにお得
ETCマイレージサービスや時間帯割引を利用すれば、ポイント還元+料金割引の二重取りが実現します。
この「確実に得している感覚」が、経営者の心理的な安心材料となります。
ポイントを効率的に貯められるETCカードの種類
一般的な高還元カードに付帯するETCカード
- 楽天カードETC
- 年会費:楽天会員ランクにより無料または有料
- 還元率:1.0%〜
- 特徴:楽天市場や楽天ペイと組み合わせることでポイント効率が上がる
- リクルートカードETC
- 年会費:無料
- 還元率:1.2%
- 特徴:業界トップクラスの還元率で固定費支払いにも強い
法人・個人事業主向けビジネスカードのETC
- 三井住友ビジネスカード(ETC付帯)
- 法人・個人事業主向け
- 特徴:複数枚のETCカードを発行可能 → 社用車ごとに管理ができる
- 経費精算の効率化に有効
- freeeカード Unlimited(ETC付帯)
- クラウド会計freeeと自動連携
- 経理を自動化したい個人事業主におすすめ
マイル系カードのETC
- ANAカードETC
- 還元率:0.5%〜1.0%(マイル換算)
- 特徴:出張や旅行が多い人に有利、マイルを貯めて航空券に交換可能
- JALカードETC
- 還元率:0.5%〜1.0%
- 特徴:国内出張が多い経営者におすすめ
シーン別ポイント活用法
出張が多い場合
- ANA/JALカードのETCを利用
- 高速料金でマイルを貯め、航空券に交換 → 出張費を節約
複数の社用車を運用している場合
- 法人カードでETCを複数発行
- 車両ごとの利用明細を管理できる → 社内精算の透明性アップ
日常の営業移動が中心の場合
- 還元率重視の楽天カードやリクルートカードを利用
- 毎月の移動費を確実にポイント化
ETC割引とポイントの合わせ技
ETCマイレージサービス
- 高速道路の利用料金に応じてポイントが貯まる制度
- 貯まったポイントは高速料金に充当可能
- クレジットカードのポイントとは別に貯まるため、実質二重取り
時間帯割引
- 深夜割引(0〜4時):最大30%割引
- 休日割引(普通車のみ):30%割引
- 大口・多頻度割引(法人契約):利用頻度に応じて最大50%割引
これらを活用すれば、ポイントに加えて料金そのものも削減可能です。
比較表:目的別おすすめETCカード
| 利用目的 | おすすめカード | 還元率/メリット |
|---|---|---|
| ポイント重視 | 楽天カードETC / リクルートカードETC | 還元率1.0〜1.2%、固定費にも強い |
| 法人管理 | 三井住友ビジネスカード / freeeカード Unlimited | 複数枚発行・経理効率化 |
| マイル活用 | ANAカードETC / JALカードETC | マイルを貯めて航空券に交換 |
今日から始められるETCカード活用ステップ
① 自分の利用状況を把握する
まずは、年間でどのくらい高速道路を利用しているかを確認します。
- 月に数回程度 → 還元率重視の一般カードがおすすめ
- 出張や社用車が多い → 法人カードやマイル系カードが有利
② 最適なカードを選ぶ
- 移動距離が長い事業主 → マイル系ETCカード(ANA/JAL)
- 複数の社用車を持つ法人 → 法人カード(複数発行可)
- 日常移動が中心の個人事業主 → 還元率重視カード(楽天・リクルート)
③ ETCマイレージサービスに登録する
クレジットカードのポイントに加えて、高速道路会社のポイントも貯まるため、必ず登録必須です。
④ 経費と私用を分ける
事業用とプライベート用にカードを分けて管理しましょう。これにより、
- 経費仕訳がスムーズ
- 税務調査時の証明が簡単
になります。
⑤ クラウド会計と連携する
カード明細をクラウド会計(freee・マネーフォワード)と連携させれば、自動仕訳で経理時間を大幅に削減できます。
⑥ 定期的にカードの見直しを行う
キャンペーンや割引制度は変更されるため、年に1回は利用状況に合わせてカードを見直しましょう。
チェックリスト:実践できているか確認
- 年間の高速道路利用額を把握した
- 自分に合ったETCカードを選んだ
- ETCマイレージサービスに登録した
- 事業用と私用のカードを分けた
- クラウド会計とカードを連携した
- 年に一度カードの見直しを行っている
まとめ
ETCカードを活用すれば、高速料金という避けられない支出を「ポイント収入」に変えることが可能です。
- クレジットカードのポイントとETCマイレージを二重取りできる
- 経理効率化と節税効果が同時に得られる
- 利用状況に応じて最適なカードを選べば還元効果はさらに拡大
つまり、ETCカードは単なる支払い手段ではなく、事業経営を有利に進めるためのツールになります。
今日から導入して、賢くポイントを貯める仕組みを作りましょう。

