クレジットヒストリーがない人の現状と課題
クレジットカードを作る際に大きなポイントとなるのが「クレジットヒストリー(利用履歴)」です。過去にカードやローンを利用した履歴があれば、支払い状況をもとに信用度が評価されます。しかし、初めてカードを作る人や、長年現金主義で暮らしてきた人、さらには海外から日本に移住してきた人などは、クレジットヒストリーが存在しないため審査で不利になることがあります。
フリーランスや小規模事業者にとっても同じ問題があります。事業を始めたばかりで、金融機関との取引履歴がほとんどない場合、クレジットカードが作れずに事業経費の決済に不便を感じるケースも少なくありません。
ヒストリーがないと審査が難しい理由
なぜクレジットヒストリーがないとカードが作りにくいのでしょうか。
信用情報機関に履歴がない
カード会社はCICやJICCといった信用情報機関に照会し、申込者の返済実績を確認します。履歴がないと「返済能力があるかどうか判断できない」とされ、リスクと見なされやすくなります。
「スーパーホワイト」と呼ばれる状態
20代前半であれば自然ですが、30代以降で履歴が全くない人は「なぜ今まで利用実績がないのか」と不自然に映ります。この状態は俗に「スーパーホワイト」と呼ばれ、かえって審査に通りにくくなることがあります。
カード会社の立場からの懸念
- 返済能力の裏付けが乏しい
- 収入の安定性が証明されにくい
- 延滞のリスクを事前に把握できない
クレジットヒストリーがなくても作れるカードの存在
とはいえ、クレジットヒストリーがなくても作れるカードは存在します。カード会社は「これから履歴を積んでもらう」という前提で、一定の条件を満たせば発行してくれるのです。
主な選択肢
- 学生向けカード
若年層向けに発行されるカードは、ヒストリーがなくても作れるケースが多い。 - 新社会人向けカード
勤務先が安定していれば、過去の実績がなくても審査が通りやすい。 - 年会費無料・一般ランクカード
ゴールドやプラチナではなく、入門編のカードなら発行されやすい。 - デポジット型クレジットカード
事前に保証金を預けることで、信用履歴がなくても作成可能。 - 家族カード
本会員の信用力をベースに発行されるため、自分のヒストリーがなくても利用できる。
企業経営者・フリーランスにとっての重要性
特に個人事業主や法人代表者にとって、クレジットカードは単なる支払い手段ではなく、事業経費管理やキャッシュフロー改善にも直結します。
- 経費をカード払いにすることで帳簿管理が容易になる
- ポイント還元で経費削減につながる
- 決済の信用力が対外的にもプラスに働く
したがって「ヒストリーがないから作れない」と諦めず、状況に合ったカードを選ぶことが重要です。
なぜヒストリーがなくても発行されるカードがあるのか
クレジットヒストリーがない人に対しても発行可能なカードが存在するのは、カード会社が「代替的な基準」で信用を判断しているからです。
勤務先や職業による安定性の判断
- 正社員として安定した企業に勤務している場合、過去の履歴がなくても「今後の返済能力が高い」と判断される
- 公務員や大手企業勤務などは特に有利
収入状況や年齢による判断
- 新社会人や学生の場合、「まだ利用経験がないのは当然」とみなされる
- 収入証明や在籍確認を通じて返済能力があると判断されれば発行されやすい
保証金や保証人による補完
- デポジット型カードは保証金を担保にするため、会社側のリスクが減り、審査に通過しやすい
- 家族カードは本会員の信用情報を利用するため、自分のヒストリーがなくても作れる
カード会社が重視する代替審査基準
ヒストリーがなくても、以下のような要素を総合的にチェックしています。
- 安定収入の有無
→ 給与明細や確定申告書が重要な判断材料となる - 勤続年数・開業年数
→ 会社員なら勤続1年以上、フリーランスなら開業から1年以上あると評価が高い - 居住年数や持ち家の有無
→ 長く同じ住所に住んでいると安定感があると見なされる - 公共料金や携帯料金の支払い実績
→ クレジットヒストリーがなくても、口座引き落とし実績が評価されることがある
クレジットヒストリーがない人に適したカードの種類
ここでは、ヒストリーがなくても比較的作りやすいカードを整理します。
| カードの種類 | 特徴 | 審査の通りやすさ |
|---|---|---|
| 学生カード | 学業専念を前提に、収入不問で発行可能 | ★★★★☆ |
| 新社会人向けカード | 就職直後を対象に、利用実績を積むための設計 | ★★★★☆ |
| 一般カード(年会費無料) | 入門編として位置づけられ、枠も小さめ | ★★★☆☆ |
| デポジット型カード | 保証金を預けることで与信リスクを回避 | ★★★★★ |
| 家族カード | 本会員の信用力で発行される | ★★★★★ |
注意すべき落とし穴
クレジットヒストリーがない人が審査に臨む際には、いくつかの注意点があります。
- ゴールドやプラチナなど「ハイステータスカード」は避ける
- 一度に複数枚申し込むと「多重申込」として逆に不利になる
- 「無職」と記入するのはNG。フリーランスや個人事業主なら正しく記載する
実際に作れるカードの具体例
クレジットヒストリーがない人でも発行されやすいカードを、種類別に具体的に紹介します。
学生向けカード
- 例:三井住友カード デビュープラス、JCB CARD W 学生用
- 特徴:18歳以上(高校生除く)から申込可能、年会費無料やポイント優遇が多い
- メリット:学生の「将来の信用育成」を目的にしているため、履歴がなくても作りやすい
新社会人向けカード
- 例:楽天カード、イオンカードセレクト
- 特徴:20代前半で勤続年数が短くてもOK
- メリット:給与振込口座と連動させると、信用力を高められる
デポジット型カード
- 例:ライフカードデポジット、アメリカン・エキスプレス・セキュアカード
- 特徴:保証金を預けることで与信審査を緩和
- メリット:履歴ゼロでも確実に作れる。利用実績は信用情報に登録されるため、将来のクレヒス育成に役立つ
家族カード
- 例:三井住友カード、セゾンカードなどほとんどの会社で発行可
- 特徴:本会員の利用枠内で発行される
- メリット:自分の信用情報が乏しくても利用できる。ただし独立性は低い
フリーランスや経営者が信用を積み上げる方法
クレジットヒストリーがない状態からスタートするフリーランスや個人事業主は、特に計画的に信用を積み上げる必要があります。
1. デポジット型や一般カードから始める
- 小さな利用枠でも確実に利用と返済を続ける
- 6か月〜1年でクレヒスが形成される
2. 公共料金や携帯料金をカード払いに切り替える
- 毎月の定期的な支払いが「安定した返済実績」として蓄積
- 少額でもクレヒスには大きな効果がある
3. 屋号口座や確定申告書を整備する
- 個人事業主は「事業の実在性」を証明することが信用構築に直結
- 屋号口座に安定した入金実績を作れば、カード審査でも有利になる
4. 延滞を絶対に避ける
- 1日の遅延でも信用情報に傷がつく
- 自動引き落としやリマインダーを利用して徹底管理する
成功事例と失敗事例
成功事例:フリーランスライターAさん
- デポジット型カードを発行 → 公共料金をすべてカード払い
- 1年後、楽天カードを申込 → 無事審査通過
- クレヒスを積んでビジネスカードへステップアップ
失敗事例:プログラマーBさん
- 一度に3枚のカードを申込 → 多重申込と判断されすべて否決
- その後半年間は再申込できず、事業の資金繰りに不便を感じた
クレジットヒストリーがない人が今すぐ取るべき行動ステップ
ヒストリーがない状態を放置していると、将来的に住宅ローンや事業資金の借入にも影響が出ます。今からできる具体的な行動を整理します。
ステップ1:入り口のカードを選ぶ
- 学生や新社会人 → 学生カード、新社会人カード
- フリーランス → デポジット型カードや一般カード
- 家族の信用を利用できる場合 → 家族カード
ステップ2:少額利用を継続する
- 月に数千円〜数万円でも構わない
- 公共料金や携帯料金など「必ず払う支出」をカード払いにすると確実
ステップ3:延滞を絶対に避ける
- 支払遅延は信用情報に傷を残し、5年間は消えない
- 引き落とし口座に余裕を持たせ、アラートを設定する
ステップ4:半年〜1年後に次のステップへ
- 利用実績を積んだら、より条件の良いカード(ポイント高還元やビジネスカード)へ申込
- 少しずつ利用枠を拡大し、信用力を育てる
記事全体のまとめ
- クレジットヒストリーがない人は審査で不利になりやすいが、作れるカードは存在する
- 学生カード、新社会人向けカード、一般カード、デポジット型カード、家族カードが主な選択肢
- カード会社は「収入の安定性」「勤続年数」「居住年数」「公共料金の支払い実績」などを代替基準として審査している
- フリーランスや経営者は屋号口座や確定申告書を整備し、信用を積み上げることが重要
- クレヒスを作る第一歩は「小さく始めて確実に返す」こと。継続すれば将来的に事業にもプラスになる
クレジットヒストリーがない人でも、正しいカード選びと計画的な利用で信用を築き、資金繰りやライフプランに役立てていきましょう。

